人間は誰しも必ず、生きていく上で、
各自固有の信念体系を形成していきます。
これは、心の安定を図るために必要な心理的プロセスですが、
たまにチェックしないと、
事実に反した思い込みにつながってしまいます。
幼少期は他者からの援助(言い換えれば愛情)が必須です。
それを得るために、
自分が所属しているコミュニティ(家庭や地域社会など)において、
「良い(愛情をもらえる)」とされる事と
「悪い(愛情をもらえない)」とされる事を基に信念体系を形成していきます。
この信念体系があることで、
どのように振る舞えば愛情を得られるかを判断できます。
それは、混沌とした脳内に秩序を与え、安心や安定をもたらします。
常に外部から入ってくる膨大な情報の中から、
何に注目し、注意を払えばよいかを決定できるからです。
成長するに従い、別の集団や
今までとは異なった信念体系を持つ人々と関わっていくことになります。
ここで葛藤や迷いが生まれ、
その末に各自固有の信念体系を形成していきます。
つまり、
信念体系を築くことは脳の生存戦略のひとつと言えるでしょう。
このようにして築かれた信念体系はとても強固です。
しかも、普段は意識に上がることなく、
それを基にして、思考したり行動する事が当たり前になっています。
疑うことなく選択しているものや
決定している事柄、判断している事など。
周りの世界や環境は常に目まぐるしく変化していますので、
これを時々チェックする必要があります。
脳の前頭葉には、
自分の行動や考えを客観的に認識するメタ認知という機能があります。
この働きが低下した時に、
行動や考えを柔軟に変える事ができなくなり、
信念体系に基づいて「○○に違いない」「○○のはずだ」と思い込んだ状態になります。
つまり、
事実確認やチェックをすっ飛ばしている時に、
信念体系が思い込みになってしまい、
合理的でない行動や人間関係の不調和を生んでしまう可能性があるのです。
現代の人々は、社会が複雑で脳への情報入力も多い上に、
脳の発達に影響する化学物質や電磁波に囲まれています。
脳疲労によるメタ認知低下は、誰にでも起こりうる事です。
脳は疲れている時ほど、
物事を単純化・パターン化させて、複雑な思考を避けます。
自分の考えや行動に対して、
疑う事や確認する機会が少なくなってしまうのです。
自分の行動や思考を振り返って(メタ認知機能)、
それ以外の選択肢や考え方を排除していないか確認を行います。
前述した通り、頭が疲れている状態では、
メタ認知が低下し客観的にチェックする事が難しくなりますので、
休日や起床後などリフレッシュしている時に行うと良いでしょう。
確認するポイントは、
★迷うことなく行っている事
★無意識に考えている事
です。
例えば、食事の「一日三食」。
私は以前、ほぼ自動的に一日に三回食事を摂っていましたが、
それにより返って、体が重くなったり、
頭の働きが鈍くなることがありました。
しかし、「一日三食」が当たり前(一日三食=よい)になっていると、
体の重さや頭の働きの鈍化に気づきにくくなります。
何かのきっかけでたまたま気づいたとしても、
食事以外の要因を無意識に結びつけたりします。
「一日三食」が検証されずに正当化されている状態です。
迷いなく行っている事は、
振り返る事で初めて、別の選択をする余地が生まれます。
試しにいつもと違う行動を選択してみればよいのです。
今日は朝食を抜いてみようか、と。(→断食のすすめ)
他の例としては、
・男性は○○、女性は○○
・若者は○○、年寄りは○○
・長男は○○、長女は○○
・中国人は○○、アメリカ人は○○
・大手メーカーの製品=安全
・テレビで言っている事=本当の事
・偉い人(政治家、医者、教育者など)=正しい
など。
このような事(特に論拠のない事や不確かな事)に基づいて、
自動的に行動したり、考えていないか振り返ってみると良いでしょう。
大切なのは、
時々振り返って、選択の余地や他の考え方がある事を確認する事。
確認した結果、問題なければそれでよし。
このちょっとした確認を皆が行うようになれば、
ストレスや不調和を生み出す些細な諍いや争いが減っていくと思います。
是非、やってみて下さい。