2022年8月1日
タイトル ケーキの切れない非行少年たち
著者 宮口幸治
発行 新潮新書
児童精神科医、医療少年院での法務技官を経て、
現在は大学で臨床心理系の講義を行う教授。
本書では、主に医療少年院での経験で得た知見を基に
認知・実行機能に問題を抱えた「反省以前」の非行少年の特徴や
更生の実態、非行化する前の予防について書かれている。
発売直後から話題になり、増刷を重ねたヒット作。
タイトルに誘目性がありますが、
読み始めてすぐに登場する”ある非行少年による複雑図形の模写”に
私はインパクトを受けました。
このページを見てすぐ購入を決めた程です。
皆さんも是非、見てみて下さい。
著者は、非行少年に共通する特徴を「5点+1」を挙げています。
発達障害について知っている方は驚かれると思います。
ADHDやASDの特徴とほぼ一致しています。
これが何を示唆するのか、
発達障害人口が世界一とも言われる日本では、
(しかも理解、認識が圧倒的に遅れている)
社会問題の一つとして、皆で考える必要があるのではないでしょうか。
また、非行少年のIQや知的障害についても触れています。
ここにも「境界知能」と呼ばれるグレーゾーン(けっこう広い閾値)があり、
ここに属する少年たちは学校教育や医療機関で気づかれず、
社会から徐々にドロップアウト(非行化)していき、
少年院までたどり着くケースが多いと言います。
IQや認知機能、実行機能の問題は、
頭が悪い、やる気がないという事ではありません。
目に見えない障害の理解や支援の必要性について
考えさせられる一冊でした。